『世界から格差がなくならない本当の理由』(SB新書)池上彰
(この文章も2020年の11月頃に書いていたもの。途中まで書いて放置していた。
以下太字の部分は2020年11月に書いていた箇所)
kindle本。最近は、同じようにスマホをダラダラ見るにしても少しでも有意義なことをしようと思って、割と簡単に読めてかつ興味をもって読めるような本をkindleで買って読むようにしている。多分スマホ使用時間の5%くらいは本を読むことに使っている。
この本もその取り組みの一環として読んだ。
最初読み始めた時は、子ども向けの本なのかなと思った。
でも、しっかり考えなければいけない問題が分かりやすく書かれていたので読んで良かった。文字数が少なかったり、イラスト・写真が多いからと侮ってはいけないな。
僕が気になったのは「金持ちが独立し、富裕層だけの都市が続々誕生」という章だ。
アメリカのある都市では、富裕層が自分たちの税金を自分たち自身により多く還元することを目的として、新しい都市を作ることが起きているらしい。
彼らは、高い税金を払っているのにそれに見合った行政サービスが受けられていないとして、富裕層だけで独立し、質の高い行政サービスを実現した。
一方、富裕層が独立していった元の都市では、税収が減った。
と言うのがこの章の大まかな流れだ。
富裕層の独立に対して、僕は明確に反対するというわけではないのだが、どこか釈然としない。
たぶんそれは「自己責任」の考え方が富裕層に都合のいいように使われているからだ。
(以下2021年現在書いた箇所)
前回書いた箇所を見ると、過去の僕にはどこか「釈然としない」ところがあったらしい。
「自己責任」の考え方が富裕層に都合のいいように使われている、とある。
この時考えていたことを詳しくは思い出せないが、だいたい次のようなことを考えていた模様。
富裕層もそうして富を得るには、公共のインフラなり、市場なりを利用している。
そのインフラなり市場なりを回すために税金は使われている。
もっというと、彼ら富裕層が富を蓄えるには、数的に大多数を占めるであろう富裕層でない層が必要であったはずだ。
僕がおかしいと思うのは、富裕層は、富裕層でない層および公共のインフラ・市場を「利用して」お金儲けをしている(した)くせに、彼が税金を納める先は別が良いと主張しているからだ。
公共のインフラ・市場を使ってお金をもうけたのであれば、自分たちが使ったインフラ・市場が帰属する国なり地域に「お返し」として税金を払うのが筋であると思う。
この本を読んだ時点でこういった公共的な(?)考えは固まっていなかったが、この池上さんの本の後に読んだマイケルサンデルの『これからの正義の話をしよう』を通じて、こういう考えに至った。
世界から格差がなくならない理由を考えるために、本書『世界から格差がなくならない理由』を手に取ったが、また違う問題を考える機会になった。
それはそれでいいことだ。
おわり